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福島地方裁判所 昭和47年(行ウ)8号 判決 1979年6月25日

原告 佐藤三郎

被告 日本電信電話公社

代理人 山田巖 粟野勉 ほか九名

主文

1  原告の請求中、停職処分の無効確認を求める部分を却下し、その余の部分を棄却する。

2  訴訟費用は原告の負担とする。

事  実<省略>

理由

一  請求原因1、2の各事実はいずれも当事者間に争いがない。

二  (形式上の瑕疵について)

原告は本件処分辞令書に停職期間の始期、終期の記載がなく、停職期間が不特定である旨主張するが、停職処分の期間は辞令書が被処分者に到達した日の翌日から起算して、処分期間の経過とともに満了するものと解すべきであるから、原告の右主張は失当である。

三  (実体上の瑕疵について)

1  原告が被告主張の各労働日に欠勤したこと、被告公社に原告主張の内容の就業規則の存することは当事者間に争いがない。

ところで、就業規則五条の「みだりに欠勤し」には、就労義務が消滅している場合の欠勤は勿論職員の責に帰すべからざる事由に基づく欠勤も除外されていると解するを相当とするところ、原告は被告主張の各労働日における原告の欠勤がいずれも右除外事由にあたる旨主張するので、以下に判断する。

2  原告の昭和四六年九月一七日の欠勤について。

(一)  原告が年休の時季を右同日と指定する旨の意思表示をしたことは当事者間に争いがない。

しかしながら、<証拠略>によれば、原告の昭和四五年度(昭和四五年一〇月一日から翌四六年九月三〇日まで)における年休残日数は同年九月一六日現在で皆無であつたことが認められ、右認定に反する証拠はない。

そうすると原告の同年九月一七日の年休の時季指定は効力を生ずるに由ないものである。

(二)  次に原告が同月一六日三里塚闘争に参加したことは当事者間に争いがなく、原告はその主張のような警察の厳重な警備のため、帰るためのバスに乗車できなかつた旨主張し、<証拠略>には右主張にそうが如き各供述が存するが、これらは、後記認定のとおり同日午後五時二〇分ころからはバスの運行も開始され、往来の障害もなくなり帰ることが可能であつたことに照らして措信できず、他に右主張事実を認めるに足る証拠はない。

即ち、<証拠略>によれば、九月一六日は、かねて新聞等で報道されていたとおり、空港建設反対同盟員やこれに同調する学生らが行政代執行に反対し、空港予定地周辺の各所で実力行動に出たため警備に当つていた警察機動隊との間で激しい衝突が繰り返され、多数の者が兇器準備集合罪、公務執行妨害罪の嫌疑で逮捕されたこと、そのため、三里塚経由京成線成田駅行きの国鉄バスの運行が一部途絶したり、運行経路の変更を余儀なくされたが、警察機動隊と反対派との衝突も同日の午前中でほぼ終熄し、夕方には往来の障害も正常に復し、午後五時二〇分ころには三里塚発成田着のバスも運転を再開し、以後合計五本の便が運行され、最終便は三里塚発午後八時七分で成田着が同八時三二分であつたこと、そして、仮に京成線の成田駅を午後一〇時一八分に発つとすれば、上野駅には翌日の午前二時五二分に到着し、東北線下り列車に乗車しえたこと、当日京成線は右混乱に起因する運行障害を蒙つていなかつたこと、以上の各事実が認められ、これらの事実によれば、原告は同月一六日夕方三里塚を出発し、同月一七日に出勤できるよう、帰福することが十分に可能であつたことが明らかであるから、原告の同月一七日の欠勤は原告の責に帰すべき事由に基づくというべきである。

よつて、原告の右主張は採用できない。

3  原告の昭和四六年一一月二四日から一二月一〇日までの間一四日間の欠勤について。

(一)  菅野征二が、昭和四六年一一月二四日の始業直後原告のために野口整備課長に対して年休の時季を同月二四日と指定する旨の意思表示をしたことは当事者間に争いがない。

原告は、菅野が同時に原告のため同月二五日から同月二七日まで年休の時季を指定した旨主張し、<証拠略>には右主張にそうが如き供述が存するが、これは<証拠略>に照らして措信できず、他に右主張事実を認めるに足る証拠はない。

被告は年休の時季指定権は行使上も一身専属的であり、代理に親しまず、仮に代理に親しむ余地があるとしても、年休の行使の時季、その始期終期など基本的事項についての原告の意思決定とそれに基づく明確な委任を欠き無効である旨主張する。そして時季指定権がその性質からみて行使上も一身専属的な性格を有し代理に親しまないことは被告主張のとおりである。しかしながら、他の者が時季指定の意思表示の補助をなすことまで許さないものと解すべきでなく、本人と補助者との間の委任関係の内容によりその効力の有無を決すべきものと解するのを相当とする。

これを本件にみるに、<証拠略>によれば、菅野は、原告が同月一九日日比谷公園野外音楽堂で開催される沖繩返還協定反対集会に参加するに先立つて、原告から、原告が右集会に参加した際逮捕勾留され欠勤した場合には、原告のために年休の時季指定をするよう依頼され、同月二〇日始業前に原告が出勤していないことを確め、加藤加入電信係長に対し原告のため同日一日を年休の時季と指定する旨の意思表示をし、その承認(時季変更権を行使しない旨の通知)をうけ同月二二日も野口整備課長に対し同様に年休の時季を同日一日と指定する旨の各意思表示をし、承認(前同)をうけたこと、菅野は同月二四日も原告が出勤していないことを確かめて前同様に同日一日を年休の時季と指定したことが認められ、右認定に反する証拠はない。

そうすると、菅野が、少なくとも原告が出勤しない同月二四日の一日を原告のために年休の時季指定することは原告の決定した年休の時季指定の意思を表示することを補助したものとみることができるからこれを有効と認めるべきである。

(二)(1)  次に菅野が同月二五日午後三時四五分ころ福島局橋本施設部長に対し、原告の休暇届を提出したこと、休暇届には被告主張の内容が記載されていることは当事者間に争いがない。そして、<証拠略>によれば、原告は、昭和四六年一一月一九日、日比谷公園で現行犯逮捕され、同月二二日に東京地方裁判所で勾留質問を受けるに当り、弁護人選任と面接の機会が与えられ、その際、木村壮弁護士に面接し、同人から弁護人選任届と休暇届の作成方を指示され、休暇届書(<証拠略>)のうち署名と指印、作成月日及び宛名部分を自ら作成したこと、それは本文相当文言が記入されないまま木村弁護士から原告の友人の本橋を介し、同月二五日昼過ぎころ菅野征二の許に届けられ、菅野征二が前示の本文相当文言(それが被告主張のとおりであることは当事者間に争いがない。)を記入したこと、菅野征二は、原告から前もつて原告が逮捕、勾留され、原告の休暇届が菅野の手許に届けられた場合には、それに前示本文相当文言を記入し、これを提出するよう委任されていたこと、以上の各事実が認められ、これらの事実によれば、休暇届の本文は既に原告の意思により決定されていたところにしたがつて、菅野が補助者として記入したものであり、全体として原告の意思に基づいて作成されたことが明らかである。

(2) 被告は右休暇届には休暇の種類及び時季の特定を欠き無効であると主張する。そして、休暇届には前示のとおり休暇の種類の記載がなく、また時季についても、前示のとおり勾留のとけるまで休暇をとらせてもらいたい旨の記載があるにすぎない。しかしながら、休暇届の記載によつて請求している休暇の種類が明らかでないときは、年休の残日数がないなど特段の事情のない限り労働者に最も有利な年休の時季指定と解すべきであり、また時季についても、前示の記載からみると休暇届が到達した日から法定の勾留期間終了までと認めるべきであり、そして、<証拠略>によれば、原告の同年一一月二五日現在の年休の残日数は一四・五日と二時間(但し、同月二四日の時季指定が有効であるとすると一日減となる。)であつたことが認められるので、休暇届が提出された同月二五日から計算して勾留期間満了まで時季指定があつたものと認めるを相当とする。

次に被告は同月二五日分の時季指定は最少単位二時間に充たないので無効である旨主張し、休暇届が同日午後三時四五分に提出されたことは前示のとおりであり、そして<証拠略>によれば、被告公社の就業規則三九条には、年休は日を単位として与えられる。ただし法定外休暇については、半日又は二時間を単位とすることができる旨規定され、また運用規定においても同旨の定めのあることが認められる。

しかしながら、二五日分の残時間が一時間一五分であり最少単位時間に充たないことから直ちに時季指定を無効とするのは相当でなく、最少単位二時間の時季指定があつたものとして有効とするのが相当である。

よつて被告の右各主張は採用できない。

(3) ところで、前示休暇届の記載からみると、勾留の起算点は休暇届の作成日付である同年一一月二二日となるところ、勾留延長のあることを考慮して、同年一二月一一日をもつて勾留期間は満了するから、原告は同日をもつて時季の終期と指定したものと認めるのが相当である。

(4) 次に、被告が原告に対しその主張のように年休の時季変更の意思表示をしたことは当事者間に争いがない。

そこで事業の正常な運営を妨げる事情の有無につき以下に検討する。

<証拠略>を総合すると次の各事実が認められる。

(ア) 福島局の組織、業務区域、福島局第一施設部整備課の組織と分担業務、加入電信係の分担業務と要員事情、同係の構成員と構成員の業務の熟練度は被告主張のとおりである。

ところで、原告の属している加入電信係の業務中、開通、撤去、移転工事は、予め加入者と打ち合せ一定の期日を定めて実施するものであつて、加入者も予定通り工事が実施されることを期待しているから、その期待にそうよう、予定された期日に計画どおり工事を行う必要があり、加入電信係の都合でこれを変更することはできない。また、障害修理についても、何時如何なる障害が発生するか予見できず、他方障害は直ちにこれを修理し、加入者に不測の損害を与えないようにしなければならないから、障害修理要員としては少なくとも技術熟練者一名を含め二名を自局に待機させておく必要がある(自局待機要員一名であると、予備機との交換が困難である。因みに宅内装置の重量はA2型二〇〇キログラム、A3型八〇キログラムである。)。村上真一、野崎守の組合せでは技術の点からみて外部修理は困難であつた。

加入電信係の業務は、高度の技術を要する一面があるから、誰でも交替できるというものではない。

(イ) 一一月二四日の加入電信係の業務及び作業分担予定は、被告主張のとおりであり、自局要員として加藤係長、野崎守が予定され、原告、佐藤明、村上真一は、同日から翌二五日にかけて福島市飯坂町所在のたちばな旅館及びグランドホテルの開通工事のため宿泊出張するよう命ぜられていた(一一月一九日原告らに対し出張命令があつた。)。

原告が欠勤すれば、原告のかわりに一名を右開通工事に出張させざるをえなくなり、修理に二名以上必要とする外部障害が発生すれば、野口整備課長がこれにあたるか、他の係から応援を求めなければならない状況にあつた。

原告が一一月二四日欠勤したため、急拠原告に代えて野崎守を右開通工事に出張させ、自局要員は加藤係長のみとなり、外部障害が発生し野口整備課長と加藤係長がその修理にあたつた。

(ウ) 一一月二五日原告の休暇届が提出された時点における同日以降一二月一〇日までの加入電信係の業務及び作業分担の予定等は次のとおりである。

a 一一月二五日牛坂八郎は一一月二七日まで貸役中、佐藤明、村上真一、野崎守は前日から飯坂町に出張中であつたが、佐藤明の母が前日の午後八時頃死亡し、佐藤明が岩手県に帰つたため、同人に代り加藤係長が飯坂町に出張したため、自局要員は原告一名となつた。なお、当日外部障害が発生し、整備係の係員二名の応援を求めてその修理にあたつた。

b 一一月二六日 被告主張の事情で自局要員は原告一名を予定しうるのみであつた。

c 一一月二七日、二八日は原告にとつて休日である。

d 一一月二九日、三〇日 加藤係長は通信局主催の電信保全担当者会議に出席のため花巻市への出張(一一月二九日から一二月二日まで)が予定され、佐藤明は特別休暇中(一二月三日まで)、飯坂町所在の紅葉館、ニユー吾妻館の開通工事に三名出張予定(原告が出勤すれば、出張を命ずる予定)で、自局要員は牛坂八郎のみとなる。

原告が一一月二九日、三〇日欠勤したため、村上真一、野崎守と整備係の大和健雄(整備係工事主任)が前示の開通工事にあたり、牛坂八郎は加藤係長に代つて月末統計などのデスク作業と予備機の修理にあたつた。

e 一二月一日から一二月一〇日まで(但し、四日(土曜日)、五日(日曜日)を除く。)野口課長は一二月一日から同月三日まで仙台市に出張が、加藤係長は一二月二日まで花巻に出張が、佐藤明は同月三日まで特別休暇を、引続き同月一〇日まで年休をとることがそれぞれ予定されており、そして、加入電信係としては、一二月六日から同月一〇日まで年末繁忙期を控えての定期巡回(二名ずつ交代でこれにあたる。)と同月六日の実査(二名必要)が、更に一一月二四日以降係員の出張などで予備機、特にA3PPの修理がおくれ、A3の予備機が極度に不足し、外部故障に新しい開通工事用のものを使用せざるをえなくなるから、一二月上旬は予備機の修理を重点的に行うことが、また牛坂八郎は加藤係長出張中は統計報告書類の作成などデスクの業務に従事することが、それぞれ予定されていた。

原告が一二月一〇日まで欠勤したため、予備機の修理が十分にできず、A3の新品二台を使用し、定期巡回を延期し、予備機の修理を行つた結果同月八日になつてA3の新品を使用しないですむ状況となつた。

以上の各事実が認められ、右認定に反する証拠はない。

以上の各事実からみると、原告の本件年休の時季指定はいずれも加入電信係の事業の正常な運営を妨げるものということができる。即ち、原告が一一月二四日欠勤すると、当日予定されていた開通工事に原告に代えて他の一名をあてることになり(実際は野崎守をあてた。)、自局要員が一名となり、外部修理には野口整備課長か、他の係の係員がこれにあたらざるをえないことになる(実際には野口整備課長があたつた。)から、事業の正常な運営を妨げることは明らかである。

もつとも、原告は野口整備課長も通常外部修理にあたつていた旨主張し、<証拠略>中には右主張にそうが如き記載ないし供述が存するが、<証拠略>によれば、野口整備課長は主に修理の時間が昼の休憩時間又は午後五時以降にかかるおそれのある場合に外部修理を担当していたことが認められるので、右記載ないし供述をもつて直ちに右主張事実を認めることはできない。

次に、原告が一一月二五日午後三時四五分以降一二月一〇日まで(但し、一二月四日五日を除く。)欠勤すると、一一月二九日三〇日予定されていた紅葉館、ニユー吾妻館の開通工事に他の係から応援を求めざるをえないし(実際整備係大和健雄の応援を求めた。)、一二月一日からの予備機の修理を急がないと、外部に開通工事用の新品を使用せざるをえなくなり(実際には新品二台を使用した。)、一二月六日から同月一〇日までの定期巡回も予定どおり行うことが困難になる(実際は定期巡回を延期した。)おそれが十分に予見しえたから、このように特に繁忙な時期に年休の時季指定をすることは明らかに事業の正常な運営を妨げるというべきである。

(三)  原告は一一月二四日から一二月一〇日までの欠勤が、その主張の如き無差別な違法な逮捕勾留によるものであつて、原告の責に帰すべからざる事由による旨主張する。そして原告が一一月一九日に開催された日比谷公園野外音楽堂における集会後の混乱のさ中、右公園内において兇器準備集合罪、公務執行妨害罪、現住建造物放火罪の嫌疑で逮捕され引き続いて勾留された後釈放されたことは当事者間に争いがない。

<証拠略>中には、右主張にそうが如き供述が存するが、後記採用の証拠に照らして措信できず、他に右主張事実を認めるに足る証拠はない。

却つて、<証拠略>を総合すると次の各事実が認められる。

昭和四六年一一月中旬ころは沖繩返還協定が国会で審議中だつたため、これに対して以前から中核派等のいわゆる過激派集団は暴力的な反対闘争を繰り返していた。

同月一九日当日は国会本会議で右協定の採決が予想されていたため、いわゆる過激派集団は日比谷公園に結集して一大暴力闘争を敢行することを企図していた。

原告はこのような中で、右日比谷公園で開催された集会に参加した。

集会は午後六時三〇分ころから約一時間にわたり日比谷野外大音楽堂において開かれたが、発言者は、こもごも暴力的な闘争を敢行すべき旨参加者に訴えた。

そして集会終了後間もなくから、公園内から官庁街に向けて進出しようとする右過激派集団とこれを阻止しようとして公園の外をかためた警察機動隊との間で激しい衝突が開始され、過激派集団は角材による突進、投石等を繰り返して機動隊を攻撃した。これは午後八時四〇分ころまで続いた。

その後機動隊による検挙活動が開始され、午後一〇時四〇分ころ闘争が終熄した。

松本楼は午後八時三〇分ころ放火され全焼した。

原告はこのような状況下で午後八時五〇分ころ警察官内野秀美によつて、小音楽堂前あたりにおいて、兇器準備集合罪、公務執行妨害罪、現住建造物放火罪の嫌疑で現行犯逮捕された。

そのとき、内野は五、六名の集団とともに逃げまどつていた原告を発見し、それを追いかけて、右肩をつかんで逮捕したところ、原告は格別の抵抗を示すことなくこれに応じた。

原告のその時の状態は、ジーパンのズボンのすそと、着用していたズツク靴が相当汚れており、上着はカーディガン様のものと、白つぽいセーターを着用し、頭髪はバラバラないしボサボサであり、手の平は石を握つた感じか、角材を携えていた様子でカサカサして、若干汚れており、このような外観から内野は直観的に原告が逮捕される直前まで機動隊に対し、投石行為を行つたり、角材で攻撃を加えていたものであると判断した。

また松本楼は原告が逮捕された小音楽堂前からほど近い位置にあり、原告はマツチを所持していた。

当日は、右のような衝突の開始される前から検挙活動の開始されるころまで、日比谷門前において、機動隊の広報車が、園内に向けて、一般市民のまき添えを防ぐため園外に退去するよう呼びかけていたが、原告はこの間右広報内容を聴取しうる位置にいた。

以上の各事実が認められ、<証拠略>中右認定に反する部分は措信せず、他に右認定を左右するに足りる証拠はない。

そうすると、原告が逮捕され、引き続き勾留されたことは、原告が真実右犯罪行為を実行したかどうかは別としても、十分な嫌疑に基づくものであつたということができ、原告の主張には理由がない。

4  以上のとおりであるから、原告の九月一七日及び一一月二四日から一二月一〇日までの欠勤は、就業規則五条、五九条一八号、日本電信電話公社法三三条一項一号に該当する。

そうすると、進んで非違行為の有無について判断するまでもなく本件処分は相当である。

ところで、原告は本件処分の無効確認を求めているが、停職の期間はすでに経過しており、右停職期間中の給料債権の有無の点を除き、他に右処分を前提として法的不利益をうける点についての主張立証がないから、本件処分の無効確認を求める利益がないというべきである。

5  よつて、本訴請求中、本件処分の無効確認を求める部分を却下し、その余の部分は、理由がないので、これを棄却することとし、訴訟費用の負担につき民訴法八九条を適用して主文のとおり判決する。

(裁判官 佐藤貞二 石井義明 平井治彦)

別紙

日本電信電話公社職員就業規則(抄)

(懲戒)

第五九条 職員は、次の各号の一に該当する場合は、別に定めるところにより、懲戒されることがある。

(一)~(一七) 省略

(一八) 第五条の規定に違反したとき

(一九) 省略

(二〇) その他著しく不都合な行為があつたとき

(局所内の秩序風紀の維持)

第五条 職員は、みだりに欠勤し、遅刻し、もしくは早退し、または直属上長の承認を受けないで、執務場所を離れ、勤務時間を変更し、もしくは職務を交換してはならない。

二~八 省略

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